【オプション戦略】デビット・スプレッドのメリットとデメリット
オプションを単体で売買するには(特にATMに近い銘柄の場合)、損益の動きが大きすぎる場合が多いです。そこで何らかのオプションスプレッドを組んで取引するのが一般的です。
オプション初心者の方は、最初にクレジット・スプレッドを取り組んだ方は多いのではないでしょう。でも、クレジットスプレッドの戦略はうまくいかず、「結局損切りしてしまうことが多い」という方には、その反対売買をしてみてはどうでしょうか?
クレジット・スレッドを反対売買したものが、今回解説する「デビット・スプレッド」です。
目次
デビット・スプレッドの取引例
OTMのオプションを買い、買ったオプションの同限月でさらにOTMなオプションを売ります。
コールオプションの場合
例:先物が17000円の時権利行使価格18000円のコール・オプションを200円で買い、権利行使価格19000円のコール・オプションを50円で売ります。
プットオプションの場合
例:先物が17000円の時権利行使価格16000円のプット・オプションを200円で買い、権利行使価格15000円のプット・オプションを50円で売ります。
デビット・スプレッドのメリットとデメリット
デビット・スプレッドのメリットとデメリットを見ていきます。ネイキッドオプションの買いと比べて、どのようなメリット・デメリットがあるの見ていきましょう。
デビット・スプレッドのメリット
オプション単体での買いに比べ、ポジション構築時のコストが少なく済みます。仮にSQまでポジションを放置して、買いオプションがインザマネーにならなった場合、単体でのオプション買よりも売りオプションの利益があるため損失が緩和されます。
また、買オプションだけインザマネーになり、売オプションがアウトになった場合は、両方のオプションからも利益を得ることが出来ます。
デビット・スプレッドのデメリット1
相場が急騰、急落し、売っていたOTMのオプションがインザマネーになった場合、それ以上の利益を得ることが出来なくなります。つまり、売りオプションを入れていることで利益限定になっています。
デビット・スプレッドのデメリット2
SQ時に損失が発生しないのになぜか証拠金が必要になります。このポジションの最大損失はポジションの構築するときのコストです(買いオプションの費用-売りオプションの利益)。にもかかわらず、売りオプションを入れるだけで現状のルールでは証拠金が必要なるからです。
ポジションを取るときの相場観
デビットスプレッドを取るのは、ある程度以上は上がる(or下がる)けど、さらに継続して上がる(or下がる)ことはない考える時です。
売買するオプションの権利行使価格では買いオプションの権利行使価格以上は行くけど、売りオプションの権利行使価格まではいかないと想定する時です。そのため、買いオプションに必要な原資を一部売りオプションで確保することも目的の一つになります。
デビット・スプレッドの仕掛け
大きく上げたり下げたりした時の反発を狙います。また、持ち合いになりIVが低下している時もねらい目です。
デビット・スプレッドの手仕舞い
逆張りの仕掛けがうまく行き、買玉が大きくインしたら手仕舞いってもいいでしょう。
その時にインになったオプションは板がない時があります。もし、指値でもうまく約定できない場合は、コールを買っているなら同じ権利行使価格のプットを売り、先物を売りましょう。これで実質売却したのと同じ効果が得られます(プットを買っている場合は、同じ権利行使価格のコールを買い、先物を買う)。ただし、証拠金が必要にはなる点、忘れないでください。
デビット・スプレッドの損切りは?
安易な損切りはお勧めできません。そのためにも損失限定になっています。
大抵の場合、日々のセータによる損失が発生するはずです。ですが、ガンマとベガの両方をポジティブに取っているので相場の急変で大きく利益を得ることが出来ます。いつ、相場は動くかわかりません。もう無理だと思って損切りした翌日に大きく動くこともざらです。
想定をしていなかったことが起こった場合を除き、じっと持ち続けることが吉です。
相場観まとめ
相場 | デビット・ コール・スプレッド |
デビット・ プット・スプレッド |
---|---|---|
急騰 | ○○ | xx |
上昇 | ○ | × |
変わらず | × | × |
下落 | × | ○ |
急落 | ×× | ○○ |
デビット・スプレッドは、相場がポジションを取った方向に一定程度動くことを望むポジションです。また、仕掛け時はIVが低下している局面が構築コストが少なく済み、後々ベガによる利益も得ることが可能です。買玉がインザマネーになったら利益確定させて次の戦略を考えましょう。
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