所得控除とは?全14種類と各所得控除額のまとめ解説
税には公平な負担が求められます。例えば、家庭の事情で離婚をしてシングルマザーの人や親を金銭的に面倒を見ている人などには、税負担を軽減してあげる必要があるからです。
ですから、それぞれの人の負担を軽減させるために複数の所得控除が設けられています。「所得控除」の全てをまとめてみました。
目次
所得控除とは?
所得控除とは、納税者の個人的な事情(生活環境や支出状況)により、所得から実質的に経費として差し引くことの出来る金額です。所得から所得控除が引かれて、課税所得が決まります。
所得控除の全14種類一覧
所得控除には大きく分けて2つの種類があります。「人的控除」と「物的控除」です。控除額については、こちらでまとめてます「所得税と住民税の所得控除額の違いまとめ」
また、サラリーマンの場合は、以下の所得控除以外に「給与所得控除」があります。
人的控除とは?
人的控除とは、納税者本人の状況により決まる所得控除です。人的控除は全8種類あります。以下、その8種類の内容を見ていきます。
基礎控除
全員一律に適用される控除です。
配偶者控除
年間の所得が38万円以下で、生計を同一にする配偶者に適用される控除です。
配偶者特別控除
本人の所得が1000万円以下で、配偶者の所得が38万円以上76万円未満で、生計を同一にする場合に適用される控除です。
扶養控除
扶養対象の子どもや親がいる場合に適用される控除です。被扶養者の年齢により控除額は異なります。
勤労学生控除
納税者本人が勤労学生(所得が65万円以下で特定の学校の学生・生徒)である場合に適用される控除です。
寡婦控除
夫と離婚または死別した人で、扶養家族がいる場合または所得が500万円以下の場合適用される控除です。さらに、上記の両方を満たす場合は特定の寡婦控除になります。
寡夫控除
妻と死別または離婚し、扶養家族がいて、所得が500万円以下の場合適用される控除です。条件としては特定の寡婦控除と同じです。(ちょっと男性の方が条件が厳しいです。逆差別じゃないかと思うかもしれませんが、現状、収入面では男性が優位なための措置ではないでしょうか。)
障害者控除
納税者自身または配偶者や扶養家族が障害者に該当する場合に適用される控除です。
物的控除
物的控除とは、支出や損害により発生した金額が認められる所得控除です。
社会保険料控除
年間に支払った社会保険料(厚生年金・国民年金や健康保険料)に適用される控除です。
医療費控除
病院や薬局で支払った医療費に適用される控除です。
生命保険料控除
生命保険料を支払った場合に保険料の一部が控除されます。
地震保険料控除
地震保険料を支払った場合に保険料の一部が控除されます。
雑費控除
災害や盗難にあった場合に適用される控除です。
小規模企業共済等掛金控除
指定の共済契約の掛金や確定拠出年金の掛金に適用される控除です。
寄付金控除
寄付をした場合に適用される控除です。ふるさと納税も含まれます。
所得税と住民税の所得控除額は違うの?
課税所得は所得から所得控除を引いた額でした。ただ、「所得税を計算するときの所得控除」と「住民税を計算するときの所得控除」は異なります。
住民税計算用の課税所得=所得-住民税用の所得控除
以下では、上で説明した各所得控除が適用される時の所得税と住民税での違いをまとめました。
所得税と住民税の所得控除額の違い一覧まとめ
控除項目 | 控除額 | ||
---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | ||
基礎控除 | 38万円 | 33万円 | |
配偶者 控除 |
70歳未満 | 38万円 | 33万円 |
70歳以上 | 48万円 | 38万円 | |
配偶者特別控除 | 3~38万円 | 3~33万円 | |
扶養 控除 |
16歳以上19歳未満 または 23歳以上70歳未満 |
38万円 | 33万円 |
19歳以上23歳未満 | 63万円 | 45万円 | |
70歳以上(同居) | 48万円 | 38万円 | |
70歳以上(非同居) | 58万円 | 45万円 | |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 | |
寡婦 控除 |
一般 | 27万円 | 26万円 |
特定 | 35万円 | 30万円 | |
寡夫控除 | 27万円 | 26万円 | |
障害者 控除 |
一般 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者(非同居) | 40万円 | 30万円 | |
特別障害者(同居) | 75万円 | 53万円 | |
社会保険料控除 | 全額 | ||
医療費控除 | 医療費-10万円 (所得が200万円未満の場合は 「医療費-所得の5%」) |
||
生命保険料控除 | 5万円(最高) | 3.5万円(最高) | |
地震保険料控除 | 5万円(最高) | 2.5万円(最高) | |
雑費控除 | ①「(損失額-所得)×10%」 ②「災害関連支出-5万円」 ①と②のうち多い金額 |
||
小規模企業共済等 掛金控除 |
全額 | ||
寄付金控除 | 寄付金-2000円 | 0円 (税額控除対象) |
こうやって見ると所得税と住民税とでは、若干ですが所得税の方が控除額が多くなることもわかります。
所得控除のまとめ
- 所得控除は大別すると「人的控除」と「物的控除」がある
- 所得控除は全部で14種類ある
- 14種類の所得控除はそれぞれ控除額が異なる
- 「所得税適用の所得控除」と「住民税適用の所得控除」では控除額が異なる