日経平均株価の過去日足が当日の寄り付きから大引けに影響するか?
サラリーマンの時に仕事をしながら日経平均株価の動きを見ていると、寄り付きは上がるけどその後じりじり下がるような展開が結構あるような気がしていました。これは、個人投資家が寄り付きに注文を入れることが多いのでのでそういう現象が一般的に多いと言われています。
これが「過去データで検証してみるとどうなのか?」そして、その動きは「前日までのマーケットとの結果と何か関係性が見いだせないか?」と思い分析してみました。小難しい言い方をすれば「日経平均株価がマルコフ連鎖ではない」ことを探ってみたいと思います。
データは日経平均株価の1991年1月から2014年12月までを使用しています。
(※日経平均株価は直接取引できませんが、この分析結果を応用して先物やETFなど日経平均株価に連動する商品で取り組むことも可能です。)
目次
寄売引買
何も考えずに寄り付きで売り、引けで買い戻したらどうなるか?
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 5903 | -0.03% | 1.26% | 48.5% | 0.93 |
勝トレード | 2864 | 0.88% | 0.90% | ||
負トレード | 3039 | -0.89% | 0.90% |
※PF(プロフィット・ファクター)=全勝取引/全負取引
特に何も考えずに寄売引買をしても、リターンはなさそうです。
前日陽線→寄売引買
では前日陽線を付けた時はどうでしょうか?
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 2864 | 0.10% | 1.20% | 54.5% | 1.26 |
勝トレード | 1561 | 0.86% | 0.85% | ||
負トレード | 1303 | -0.82% | 0.88% |
リターンが上がりました。前日陽線で引くと翌日に売り圧力があることが分かります。
前日まで陽線2本(2連続陽線)→寄売引買
前日と前々日が陽線の場合はどうでしょうか?(陽線2本には陽線3本以上を含んでいます。)
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 1303 | 0.12% | 1.19% | 54.7% | 1.35 |
勝トレード | 713 | 0.83% | 0.92% | ||
負トレード | 590 | -0.75% | 0.87% |
陽線2本になったら若干ですがリターンが向上しています。
前日まで陽線3本(3連続陽線)→寄売引買
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 590 | 0.08% | 1.12% | 53.7% | 1.24 |
勝トレード | 317 | 0.75% | 0.87% | ||
負トレード | 273 | -0.70% | 0.88% |
少しリターンが下がりました。
前日まで陽線4本(4連続陽線)→寄売引買
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 273 | 0.16% | 1.02% | 56.0% | 1.62 |
勝トレード | 153 | 0.74% | 0.90% | ||
負トレード | 120 | -0.58% | 0.62% |
陽線4本ではその後陰線になりやすいことが分かります。下げ相場か上げ相場かは分かりませんが、何度も上昇を試しているので一旦は一服する傾向があるということが分かります。これだけだと取引回数(年10回程度)が少なくなるのが気になります。
最適化
では、これらの結果を組み合わせて若干最適化をしてみたいと思います。
陽線後の分析でリターンは陽線3本<陽線1本<陽線2本<陽線4本ということが分かりました。では、陰線後陽線2本と直近陽線4本以上の時だけ取引をしたらどうなるでしょうか?
上記検証はすべて何本以上でやってます。そのため陽線4本は陽線3本に含まれていますですので、陽線3本(以上)<陽線4本(以上)なら 陽線3本だけ<陽線4本(以上)です。そこで陽線3本だけの時を除外してみました。
陽線2本または陽線4本以上→寄売引買
取引回数 | 平均利益 | 標準偏差 | 勝率 | PF | |
全トレード | 986 | 0.15% | 1.19% | 55.7% | 1.47 |
勝トレード | 549 | 0.85% | 0.94% | ||
負トレード | 437 | -0.73% | 0.84% |
取引数(年40回程度)もそれなりに確保し、陽線2本だけの条件よりもリターンが向上(PF:1.35→1.47)しているのが分かります。
正規分布との比較
分析結果の分布図と正規分布を比べてみました。正規分布の平均値および標準偏差は分析結果の数値を使用しています。
正規分布と比べても大きな偏りがないことが分かります。真ん中が出ていてテールが流れているのはマーケットの特徴でもあるのでいい結果ではないでしょうか。
まとめ
分析結果から勝率が高いため陽線が連続で現れると次の日に陰線になる傾向がある。また、勝トレードの平均利益は負トレードより大きいので、陰線になるときは陽線になるときよりも長いことが分かります。平均利益を考えるとシステムに組み込んで取引をするのは手数料的に難しいですが、傾向を頭に入れておくと方向感が分かるのではないでしょうか。
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