インプライド・ボラティリティとは何か?
オプションで一番理解するのが難しいのがインプライド・ボラティリティです。逆に言えばインプライドボラティリティが何かわかればオプションに難しいことはありません。
目次
インプライド・ボラティリティって何のこと?
英語になっているからややこしいのですが、インプライド・ボラティリティを日本語で言うと「予想変動率」となります。
インプライド・ボラティリティ(予想変動率)の例
例:日経平均株価が18000円で残存が1年のオプションのIVが20%の時
概ね日経平均は1年後に18000円の前後20%の間、つまり14400円~21600円の間にあるとオプション価格が予想しているということです。
ヒストリカルボラティリティとの違い
ヒストリカル・ボラティリティはある一定期間(1ヶ月や1週間など)の過去データを使って計算されたボラティリティです。ですから、インプライド・ボラティリティとは算出の仕方が異なります。
なぜ同じ満期日なのにIVが違う値になるのか?
IVはオプション価格が予想する将来の変動率です。そして、そのIVをオプションから計算するときにある仮定を置いて計算します。ある仮定というのがオプションでよく出てくる「ブラックショールズモデル」というものです。
ブラックショールズモデルの仮定では、同じ満期日のオプションのIVは同じになります。しかし、このモデルを仮定して計算すると権利行使価格によって同じ満期日なのにもかかわらず違うIVが出てきてしまいます。つまり、ブラックショールズモデルが現実にマッチしていないためです。
そうするとブラックショールズモデルが間違ってるの?
今のところ株価を完全にモデル化することは出来ていません。これは結局のところ将来どうなるかは誰にもわからないからです。
しかし、ブラックショールズモデルはかなり高い精度で株価動きをとらえることが可能であって、かつ、計算が簡単なので広く一般に使われています。
結局IVって何?
IVはブラックショールズモデルでは測ることことの出来ない「需給の歪みを表している」と考えるのが一番いいです。
IVを「将来の変動率だ!」と思ってもIVは毎日変わります。しかも、あくまでそれはブラックショールズモデルを仮定して出しているだけですので、正しいかどうかはだれにもわかりません。
ですから、IVが高い=そのオプションの買い需要が多い(売り需要が少ない)、IVが低い=そのオプションの買い需要が少ない(売り需要が多い)と理解するのが一番いいです。
日経225オプションのIVだと
日経225オプションでATMから同じぐらい離れたコールオプションとプットオプションを比べると、ほぼ必ずプット・オプションの方がIVが高いです。これはマーケット参加者が暴落に備えたいためプット・オプションに対する買い需要が高いので価格が上がります。また、いつ暴落が起こるかわからないため売り需要が少なく価格が上がるのです。
このように「IVをオプションの需給」と理解すれば、ブラックショールズモデルが何か詳細までわからなくてもIVについて理解することが出来ますね。
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